能動態と受動態、どちらを使うべき?
読み手が知る必要があるときは、誰が何をしたのかを書きましょう。日本語では、主語を補った能動の文がたいていその近道です。受動態を使うのは、行為者が不明なとき、重要でないとき、言うまでもないとき、または行為を受けた側こそ読み手の関心事であるときです。受動態が問題になるのは、責任の所在を隠してしまうときだけです。
能動態と受動態の違い
能動態では、主語が動作をします。「監査担当者が誤りを 3 件見つけた」。受動態では、主語が動作を受けます。「誤りが監査担当者によって 3 件見つけられた」。ただし日本語では、物を主語にした「〜によって〜られた」は翻訳調に聞こえやすく、実際には「誤りが 3 件見つかった」のような自動詞の文で行為者を消すことのほうが多いでしょう。
日本語の受身には「雨に降られた」のような迷惑の受身もあり、英語の受動態と完全には重なりません。また日本語は主語を省くことが多く、「〜された」「〜となった」「〜することが決定された」のように、誰がしたのかを書かない文が自然に生まれます。どの言語でも、問うべきことは同じです。その文は、誰が動いたのかを示しているか。そして、その人を主語にしているか。
能動態が基本になる理由
読み手が文に求めるのは「誰が」と「何をしたか」の 2 つです。能動態は行為者を主語にするので、読み手は最初にその人に出会います。受動態は行為者を主語の位置から外して文の奥に回すか、まったく書かないので、読み手は自分で推測しなければなりません。
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2 つめの文は短くなったわけではありません。でも、読み手が次に聞きたくなること、つまり「誰が決めたのか」「誰が懸念を示したのか」に答えています。返信もしやすくなります。
受動態が正しい選択になるとき
受動態は誤りではありません。注目の向け先を変える道具であり、次の 4 つの場面では、それが正直な選択です。
- 行為者がわからない。「夜のうちに窓が割られた」。誰がやったのかわからないのに、誰かを作り上げるほうがよほど問題です。
- 行為者が重要でない。「検体は 4 °C で保管された」。読み手に必要なのは温度であって、作業した人の名前ではありません。
- 行為者が言うまでもない。「彼は 2019 年に選出された」。選ぶのが有権者であることは明らかです。
- 行為を受けた側が話題の中心。契約書についての段落なら、「契約は金曜日に締結された」と書けば、読み手の注意がすでに向いている契約書を先頭に置けます。
科学論文や法律文書で受動態がよく使われるのはこうした理由からで、その分野の読み手もそれを当然と考えています。インドネシア語やマレー語のように、日常の文章でも受動態がごく普通な言語もあります。そこでは「能動が基本」という決まりより、上の 4 つの判断のほうが大切です。
受動態が問題になるとき
受動態が問題になるのは、読み手が知るべき責任の所在を隠してしまうときです。「不手際があった」「誤解を招いた」は、何かがうまくいかなかったことは認めつつ、誰がしたのかには触れません。日本語では受身よりも、こうした主語のない文や「ミスが生じた」のような自動詞で責任がぼやけることのほうが多いので、受身の形だけでなく「主語が書かれているか」を確かめましょう。たいていは、それが狙いで書かれています。
仕事の文章でも、同じことが意図せず起こります。「請求書は来週送付されます」は、請求書が届かず、誰の担当だったのか誰にもわからなくなるまでは問題なく見えます。タスク、決定、ミスについて書くなら、読み手にはほぼ必ず名前が必要です。受動態でなくても、行為者は同じように隠れます。「ミスが生じた」「〜することになった」のような言い方や、主語を省いた文です。
受動態を能動態に直す手順
- 行為者を探す。実際に誰がしたのかを考えます。「〜によって」が手がかりになることもありますが、日本語では主語が省かれているだけのことのほうが多いものです。
- 行為者を主語にして、文の先頭に置きます。
- 動詞を能動の形にして、意味が変わっていないか確かめます。
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行為者が見つからないとき、あるいは名前を出すと誤解を招くときは、受動態のままにしましょう。それはチェックが失敗したのではなく、うまく機能した証拠です。
送信前のクイックチェック
下書きの中から、「〜された」「〜される予定」「〜することとなった」のような形の文を探します。それぞれについて、読み手が「誰が」を知る必要があるかを考えます。必要なら書き直し、不要ならそのままにします。
別の言い回しと見比べたいときは、Private Writing Assistant でその文を選択し、「書き換え」を押して「自然に」か「ビジネス」を選びます。変更箇所が強調表示された新しい文が、書いたときと同じ言語で表示され、どちらを使うかはあなたが決めます。文が読みにくくなるもう一つのよくある原因については、文の長さについての記事で取り上げています。
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